こんにちは、さくらの森動物病院です🌸
12月になりすっかり冬の空気・・・?と思いきや、
日中はかなり暖かい日もあったりとまだまだ冬本番とはならなそうですね。
寒くなるとついつい忘れがちになってしまうのが、
「フィラリア」と「ノミ・ダニ」の予防です。
「蚊を見なくなったから、フィラリアの予防薬はもう終わりでいいかな?」
「寒くなったから、ノミやダニもいなくなったかな?」
と、予防薬を途中でやめてしまった・・・なんてお話をよく伺います。
実はそれ、とーってももったいないです!!!
今回は、なぜ12月までフィラリア予防が必要なのか、
そしてノミ・マダニ予防を冬も続ける理由についてお話したいと思います。
🦟 フィラリア予防は“12月まで”が大切な理由
🩸 フィラリアってどんな病気?
フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介する寄生虫感染症です。
蚊に刺されて体内に侵入したフィラリアの幼虫(L3)は、
数週間〜1か月ほどかけて 血管や皮下組織を移動しながら成長します。
やがて成虫になると心臓や肺動脈に寄生し、
咳・息切れ・食欲低下・お腹の張りなどの症状を引き起こします。
重症化すると心不全や突然死のリスクもあります。
🕐 フィラリアの発育サイクルと予防薬の仕組み

| 段階 | 発育の流れ | 所要期間(体内) |
|---|---|---|
| 幼虫(L3) | 蚊から皮下へ侵入 | 0日目 |
| 幼虫(L4) | 数日〜10日で皮下を移動 | 約2週間 |
| 若虫(L5) | 血流に乗り心臓・肺へ | 感染後約1か月〜1.5か月 |
| 成虫 | 心臓内で成熟・産卵 | 感染後約6か月 |
フィラリア予防薬は、蚊に刺されて体内に侵入した
「フィラリアの幼虫」を1か月ごとに駆除する薬です。
つまり、蚊に刺されてしまうのを予防するわけではなく
「先月蚊に刺されて体内に入った幼虫を、今月の薬で駆除する」
という 後追い予防(駆虫) なのです。
蚊の活動は、気温15℃を下回ると減少します。
横浜市の11月の平均最高気温は17℃なので、11月はまだまだ蚊の活動期間となります。
だから12月までのフィラリア予防が大切なのです…!!
💡12月の最後の1回の予防を忘れると、せっかくそれまで毎月予防をしていたとしても
感染幼虫が駆除されず体内に残ってしまう可能性があるということです。
🧡フィラリア予防の1年間の流れ(神奈川エリア目安)
春になったらフィラリアに感染していないか病院で血液検査をします。
感染していないことを確認してからフィラリア予防薬の投与をはじめます。
必須の予防期間は5月~12月までの8ヶ月間ですが、
最近では3月になるとかなり暖かく気温が15℃を超える日が多くなっています。
暖かい日が多いときは4月から早めにフィラリア予防を始めてあげるとより安心です。
🐾 ノミ・マダニは冬でも活動している!?
「蚊がいないから、ノミやダニもいない」と思われがちですが、実は大間違い。
ノミダニは年中生息しており、気温が13℃以上あれば活発に活動します。
万が一、室内に持ち込んでしまうと暖房の効いた室内では一年中繁殖可能です。
特に注意したい場所
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緑のある公園や落ち葉が多い散歩コース
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お庭や植物のあるベランダ、玄関周辺
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室内ではソファやカーペット、クッションなどの布製品
ノミやマダニは、犬猫だけでなく人間にも影響を及ぼす寄生虫です。
皮膚炎・アレルギー・SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染リスクがあるため、
通年での予防をおすすめします。
🧬 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)も引き続き要注意
マダニが媒介するウイルス感染症で、
犬猫だけでなく人間にも感染することがあります。
感染動物では、
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発熱
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元気消失
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食欲不振
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血小板減少 などの症状を示すことがあります。
特効薬はなく、予防(マダニ対策)が最良の防御策です。
昨今では関東地方でも、暖冬傾向により冬季のマダニ活動報告が増えています。
「草むらには近づけない」「予防薬を通年で継続する」などの対策を心がけましょう。
🌲 12月のポイント
- フィラリア予防は12月まで忘れずにしましょう
- 冬季もノミ・マダニ予防は継続してあげましょう
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暖かい日はノミ・マダニの活動が活発になるので冬でも要注意


















